建築散策_長野県小布施町①

建築散策 | 2021.12.14

2年前から設計相談を受けている長野県で計画中のプロジェクト。
ご出産やお仕事の都合で少し計画が中断しておりましたが、再出発!

せっかくの長野旅ということで、長野に住む大学時代の後輩が一日休みを合わせてくれるとのことで、打合せ前に前乗り建築散策!
朝9時。
合流すると彼の手元には、建築物リストと食事場所などが書かれたバインダー。
僕を連れ回す気合いを感じたので、従って案内を受けることに。

1箇所目は小布施にある【岩松院】へ。
なんと本堂の天井に葛飾北斎が最後に描き上げた「八方睨み大鳳凰図」なる絵が残っており、しかも160年以上前の完成当時から色の修復はされていないとのこと。
お寺の外観や立地は一般的ですが、中に入ると大屋根を支える力強い柱や梁から歴史を感じさせ、建物外と異なる世界に足を踏み入れた感覚に。
北斎が89歳の時に描かれた大鳳凰図は、当時の色が鮮やかに残り迫力あるものでした。

奥の間からは、小林一茶が「やせ蛙 まけるな一茶 これにあり」という俳句を読んだ蛙合戦の池があり、お寺を案内してくれた方から句が詠まれた背景を伺い、その想いに重ねて空間に身を置くことに。
おそらく建築的な意図やつくり込みはそこまでないはず。
しかし畳に膝をつき腰を落とすと、軒先と高欄の水平線で景色が切り取られ素晴らしい景色が映り込み、北斎や一茶がこの場所の好んだ理由がわかる様な。
所作に対しての高さ設定の重要性を意外な場所で考えさせられることになりました。


お寺の参道に入る前にも気になるお店。
【KUTEN。fruit&cake】というタルト屋さん、お店のコンセプトも素敵でした。
もともとは物産店だった様ですが、小布施の魅了を伝える魅力的な空間でした。

タルトを頂きたいところでしたが、案内人のランチの予定はここではなく…
コーヒーを一杯頂き岩松院を後にすることに。

時計の針は11時、まだ一日は始まったばかり。
続く。

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