昨年末に道路後退絡みのご相談を受け進めてきた【佐野の庭1】
ご相談内容から、設計事務所としてどの様に関われば良いか悩む案件であった。
しかし結果として私の今後に大きな影響を与えてくれたプロジェクトとなった。

特に建築の建替えをする訳でもなく、ご自宅のブロック塀が将来的に倒壊する可能性や、それによって近隣に迷惑をかけてしまうことを心配されたお施主様からのご相談。
学校や駅も近い入り組んだ住宅街。
災害時なども想定し、塀をかけ直すのであればこの機会に道路後退も自発的に行いたいと。
またご自身も高齢となり、好きな庭を一人でも管理しやすい形にしたいとの依頼であった。

工事が始まると、現場の職人や言葉もうまく伝わらない技能実習生に対して毎日お気遣いを頂いた。
工事が終わると、明日からあなたたちに会えなくなることが淋しいともおっしゃってくれた。


今日はご協力頂いたJ.L.Design日庭の奥平氏とメンテナンスを兼ねて訪問。
庭先で話すお二人の様子を見ていると、工事中に築いた関係性が良く分かる。
それはご依頼内容に誠実に応えた仕事からも感じる。
「この敷石のおかげで、草を取るとき膝がつけて楽なのよ」と。
これは以前から庭にあった石を、住まい手を想って奥平氏が敷き入れたもの。
大きな風景の中に、暮らしに寄り添った機能を自然な形で表現していること。
それに気付いた住まい手の喜び。
そして私の喜びはそれを共有できたこと。

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